親へ感謝できて、ようやく「自立」できたと思った話

私は大学卒業後、会社に就職し、一人暮らしをしていました。

その頃は自分でも本当に頑張っていたと思う。
寝る間を惜しんで勉強して、飲み会も楽しんで。
20代で体力もあったからできたんだろうなぁ。

30代で夫に出会って、すぐ結婚して、自分の「家庭」ができて。

それでも、考え方がまだまだ幼かった。


と気づいたのが産後、娘が一歳くらいになってからです。


私は親に感謝しろという家庭で育ったのだけど、
その考えにはなじまず、親が子どもを育てることは当たり前だと思っていました。
自分のことが好きではなかったし、
なぜ生まれてしまったんだろうと思った時期もあり。

「産んでくれたお母さんに感謝しろ」
と父に言われても、
こちらは頼んでないし、むしろ産んでくれなかったらこんな辛い思いをしなくて済んだのに、
と思うことさえありました。
育てるのにお金もかかっただろうけど、子どもを何人持つかなんて親自身で決められるのだし。


だから、結婚式の時に涙ながら、親への感謝の手紙を読む意味が全然わからなくて、
ありがとうの「あ」さえもでてきませんでした。


そしてほどなく出産。
恐怖になるくらいの痛みで、いまだに忘れることができないのですが、
出産直後も、私が産もうと妊娠して出産したのだから、親として当たり前のことだ、と思っていました。


そして育児がはじまり。
一年目、娘が0歳の時の記憶はほとんどありません。
あまりに辛すぎたのです。
毎日暗闇の中にいた感覚です。


一歳過ぎて落ち着いた頃、考えるゆとりができ、
「親へ感謝したい」と思うようになりました。


親として子どもを育てるのは当たり前、という考えは変わっていません。
だから私も当たり前のことをしている。


だけど、なんのお金の報酬もなく、こんなに辛い思いを、
20代だった、私より若かった母がしてくれたのだと思うと、
何とも言葉になりません。


遠くに嫁ぎ、知っているのは夫だけの土地での育児はどんなに辛かっただろう。
しかも携帯もインターネットもなく。


あなたはとても頑張っている、
成長した娘は素晴らしい夫、子ども、仕事、周りの人びとに巡り会えたよ、
本当に偉いよ、本当にお疲れさまと、
20代の母に会って伝えたい。


そんな気持ちになり、母と父にようやく、ありがとうと言えました。

これがとても遅い、私の自立の話です。


#わたしの自立

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